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私に売れないモノはない・ジョージラード

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あれは、私がまだ若かった20代の頃です。

保険のセールスをしていました。数ヶ月で根を上げてやめました。

そのころのセールス手法は、あてどもなく家々を回り、保険はどうですかとご用聞きをするようなやり方でした。

突然訪れた知らない男から保険いりませんかと言われても、ほとんどは断られます。

玄関の敷居すらまたがせてもらえず追い払われます。

100件ほど回ると偶然、保険を検討していたご家庭に巡り会うこともあります。

そんな時は、ここぞとばかりに商品説明をしますが、考えておくということで成約に至ることは滅多にありません。

しかし、成績のいい先輩セールスマンに同行して「修行」したときの話です。

同じように片っ端から家々を回りますが、セールストークが違いました。

話の導入にそのお宅の家の造りや植木、調度品などほめちぎります。そうすると相手もいい気になって、商品説明をさせてもらえる雰囲気になります。

いろいろと家族構成や将来かかる人生資金や保障額などを大ざっぱに示しては、これだけの保険が必要だといった説明をします。

相手もそれなりに納得するような内容です。すかさず契約書を目の前に出して、契約の意志を示してもいないのに、強い口調で印鑑を出せといいます。

なぜか、相手は、印鑑を出してきます。そして、大胆にもそれをぽんぽんと契約書に押し始めます。

相手は、怪訝な顔をしますが、お構いなしです。

名前も住所も書いていない契約書です。

そうしながら、また、家族や家の中にあるモノをほめちぎります。

また、雰囲気が変わり、その時にさらに商品説明をします。人生に必要な保証という考えを説いています。

内容的には圧倒される内容です。あなたはあなたとあなたの家族をどう守るのかと迫ります。

ながながと聞いていると催眠術にかかったように、相手は、契約書にサインを初めています。

ある意味強引なところがあります。脅しているわけではないのですが、雰囲気が強引なのです。

そんなやり方で、1日に何件も成約をとってきます。

まだ若かった私には、とても無理なセールス手法だなと思いました。

そうやって契約してきた先輩の案件も、数日たつと解約願いの電話が半分くらいかかってきます。

よくよく家族全員で考えると必要のないものだという判断です。

セールスされたときは、いらない、いらないと思いつつ強引なトークにおされて、それなりに納得したような気になって契約してしまった人が多いのです。

それでも、半分の契約は残っていきますから、先輩セールスマンの成績はいつもトップクラスです。

まじめ一本だった若かかりし青年には、これは人をだまして保険契約をとっているとしかみえませんでした。

あれから、30年以上が経ちます。

あのときこんな本を読んでいたら、また人生が変わっていたかもしれません。

『私に売れないモノはない!』ジョー・ジラード著

世界NO.1セールスマンがあかす「必ず売れる」セールステクニック

2004年の本ですが、セールスの小手先のテクニックではなく、モノを売るということの本質的な部分で、人と人のつながりについて著者の経験がふんだんに語られています。

1928年アメリカ、デトロイトでイタリア系移民の子供として売まれた彼は、貧しい暮らしを続けます。

そこから世界トップクラスのセールスマンに成長する伝記のような内容でもあります。

さまざまな苦労から、見いだした「ジラードの250の法則」は、どんな商売にもあてはまるでしょう。

「ジラードの250の法則」とは、どんな人にもつながっている人が250人いるという考えです。

詳しくは本書の67ページからの章を読んで下さい。

今日会った全ての人のバックには250人のつながりがある。そう考えると誰一人もないがしろにできない。

すべての人が見込み客になり、すべてに人がお客さんのようにみえるという考えです。

今でいうなら「口コミ」戦略といった側面も述べています。

見込み客を常に集め、新陳代謝をよくしてお客さの方から足を運んでもらえるようにするセールスです。

それを第7章では、「観覧車の席を絶え間なく埋め続ける」と題して説明しています。

細かなセールステクニック的な話よりもセールスの考え方といった内容です。

「トップセールスマンは一流の役者である」と言い切り、モノを売るという行為がエンターテイメントのように人々を喜ばせることとらえています。

一昔前のイケイケ!ゴーゴー!で押し売りまがいのセールスが、セールスマンのやることだとすれば、ジョー・ジェラードのセールスは、まさしくエンターテイメントです。

こんな楽しい仕事はないとまで思えてきます。しかし、エンターテイメントの裏側は、様々な苦労もあります。

人を楽しませるということの裏側は、人が楽しいと思ってもらえたときに喜びを感じますが、それまでは苦労の連続です。

それと似たような世界がトップセールスの世界だと言えます。

人に喜んでもらう、そのときに売る側も喜ぶ、そして社会全体が豊かになるという考えですね。

これは、日本の近江商人の商売理念である「三方よし」の考え方と同じです。洋の東西はちがえど、商売の基本精神は同じです。

ネットビジネスの世界も同じです。ネットの向こう側とこちらと繋がっているのは人と人です。

どんな分野でも商売をしている人には、大いに刺激になる一冊でした。

 

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