「葉隠」に学ぶ、現代を生き抜くための最強メンタル術 

書評

この本は、山本常朝が語った武士の心得を、田代陣基が筆記してまとめた「葉隠」の内容を、現代人にもわかりやすく解説したものです。

「葉隠」は、武士道について書かれた書物として有名ですが、単に「武士道とは死ぬことと見つけたり」といった内容ではなく、主君への忠誠心、組織における処世術、人材の重要性、危機管理など、現代社会にも通じる教訓が数多く含まれています。

特に印象的なのは、常朝が説く「不遇のとき」の心構えです。

彼は、たとえ不遇な状況に陥っても、決して腐らず、むしろ積極的に周囲の人と関わり、自分を磨くことが大切だと説いています。

それは、人生における逆説的な真実、つまり、落ちまいとすれば醜く滅びる。逆に、潔く滅びる覚悟をすれば、かえって滅びない。

家も知行も、もともとは殿様から頂戴したものであり、いざというときには家も知行も投げ出して殿様に御奉公するのが真の武士である。

立身出世とは、単に高い地位に就くことではなく、主君に意見具申をして政治に与かることである。

などを象徴するものでしょう。

現代社会においても、組織の中でどのように振る舞い、どのように生きていくべきか悩んでいる人にとって、「葉隠」は多くの示唆を与えてくれる書物といえるでしょう。

『葉隠武士道』の復刻版の原点は次の書籍になります。

その解説書で、現代人向けに解説している童門冬二氏の『葉隠の人生訓 童門冬二/著 PHP研究所』をだいぶ昔に読みました。

こちらの本をもとに『葉隠武士道』の世界を見ていきます。

行き詰まりを感じていませんか? 答えは意外にも、武士道にあり?

現代社会はストレスフルだ、と感じる人は多いのではないでしょうか?

常に成果を求められ、情報過多の中で疲弊し、人間関係にも悩みが尽きない…。

そんな状況で「自分は何のために生きているのか」「どうすれば幸せになれるのか」と、生き方に迷ってしまうのも無理はありません。

しかし、そんな現代人にこそ読んでほしい本があります。それは、およそ300年前の武士によって書かれた武士道書「葉隠」です。

「武士道」と聞くと、「切腹」「主君への絶対的な忠誠」など、現代の私たちとはかけ離れた、時代錯誤なイメージを持つかもしれません。

しかし実際には、「葉隠」は「組織論、人心掌握術、処世術」などのテーマも扱い、時代を超えて役立つ「人生の指針」が詰まっているのです。

300年の時を超えて…「葉隠」とはどんな本?

「葉隠」は、江戸時代初期の佐賀藩士「山本常朝(やまもと つねとも)」が、自身の経験や思想を語り、それを筆録させたものです。

聞き書きを行い、まとめ上げたのは、常朝の弟子である「田代陣基(たしろ つらもと)」。

約5年をかけて完成させたこの書物は、全11巻からなり、現代でも多くの読者を魅了し続けています。

「武士道」の書として知られる「葉隠」ですが、その内容は決して「死」だけを礼賛するものではありません。

「武士道とは死ぬことと見つけたり」という有名な一節はありますが、それはあくまで一面に過ぎません。

実際には、

  • 組織の中でどう生き抜くか (上司・部下との付き合い方、処世術)
  • 人を動かすにはどうすればよいか (人心掌握術、リーダーシップ)
  • 逆境に立たされた時、どう乗り越えるか(不遇の心の持ち方、精神論)

など、現代社会でも役立つ、多岐にわたるテーマを扱っている点が、「葉隠」最大の魅力と言えるでしょう。

時代を超えて響く! 現代社会で活かせる「葉隠」の教え

「葉隠」には、現代を生きる私たちにも役立つ、具体的なエピソードや教訓が数多く記されています。

今回は、その中からいくつかご紹介します。

上司の「心の機微」を読み取る

「葉隠」では、「主君に対する忠義は、男女の忍ぶ恋のようなもの」と表現されています。

つまり、自分の気持ちをストレートに伝えるのではなく、上司の性格や置かれている状況をよく観察し、「相手の心の機微を察する」ことが大切だ、という教えです。

例えば、山本常朝は、藩主・光茂公が歌を愛好しているにも関わらず、嫡男には歌の勉強を禁じていたことを見抜き、その真意を「若い頃から歌にうつつを抜かすと、軟弱な武士になる」という危惧だと解釈しました。

これは現代社会でも同じことが言えます。

上司がなぜそのような言動をとるのか、その背景にある「真意」を理解しようと努めることで、より円滑なコミュニケーションが図れるようになるでしょう。

不遇のときこそ、自分を磨くチャンス

人生、必ずしも順風満帆とは限りません。

仕事で失敗したり、周囲との関係に悩»»だり…。

「葉隠」では、そんな 「不遇のときこそ、自分を磨くチャンス」 と捉えるべきだと説いています。

山本常朝自身も、藩主の寵愛を失い、失意の日々を送った経験があります。

しかし彼は、その時間を無駄にすることなく、読書や座禅に励み、精神的な成長を遂げました。

現代社会においても、思い通りにいかない時こそ、焦らず腐らず、スキルアップや自己研鑽に励むことが、未来の成功へと繋がるのではないでしょうか。

組織は「多様な人材」で成り立つ

「葉隠」には、「組織を構成する一人ひとりの個性や能力を尊重する」考え方が随所に見られます。

例えば、佐賀藩祖・鍋島直茂は、家臣の意見を聞く際、「良い意見だけを取り入れるのではなく、反対意見も参考にする」ことを重要視していました。

組織をより良くしていくためには、多様な意見を積極的に聞き入れる姿勢が大切だ、という教えです。

これは現代の組織運営においても重要な教訓と言えるでしょう。

多様な人材を活かすことで、組織はより強固になり、新たなイノベーションが生まれる可能性も高まります。

社会人の心に刺さる一言…「ただいまがそのとき、そのときがただいま」

数ある「葉隠」の言葉の中でも、私が特に感銘を受けたのは、「ただいまがそのとき、そのときがただいま」 という言葉です。

一見すると禅問答のようですが、山本常朝は、この言葉を「平常時と緊急時を区別するな」という意味で用いています。

30代、40代ともなると、仕事である程度の責任を任され、部下を持つ人も多いでしょう。

組織を動かし、成果を出さなければならないプレッシャーの中で、つい「今は準備期間だから」「今は目の前の仕事をこなすのに精一杯だから」と、目の前のことだけに集中してしまいがちです。

しかし、「葉隠」は、そんな私たちに「常に今が本番である」という意識を持つことの大切さを教えてくれるのです。

「いつか大きな仕事をするために、今は力を蓄えておく」という考え方は、決して間違いではありません。

しかし、目の前の仕事に真剣に取り組まなければ、本当の実力は身につきません。

「ただいま」を真剣に生きることが、「そのとき」の成功へと繋がっていく…この言葉を胸に刻み、日々の仕事に全力で取り組んでいきたいと感じています。

「葉隠」の時代背景

「葉隠」の時代背景は、大きく分けて次の3つの要素が関係しています。

江戸時代初期の社会状況

太平の世の到来で戦国時代が終わり、徳川幕府による安定した政治体制が確立。

武士は戦場ではなく、平和な世の中で生きることを求められるようになりました。

武士の意識の変化があります。

戦で活躍する場を失った武士たちは、新たに「主君への忠義」を拠り所とするようになります。

その中で、儒教の影響を受けた新しい武士道が形成されていくことになります。

藩体制の確立で、各藩は、幕府への忠誠を前提とした、独自の政治や文化を形成。武士は藩に仕え、その繁栄のために尽くすことが求められました。

鍋島藩の特殊な事情

旧主家・竜造寺家との確執があり、鍋島家はもともと竜造寺家の家臣であったが、豊臣秀吉の命により、竜造寺家に取って代わって佐賀藩を支配することになったという経緯を持っています。

そのため、旧主家に対する複雑な感情や、政権交代に伴う家臣団内部の摩擦などが存在しいました。

そして、藩の財政難です。

鍋島藩は、度重なる戦や藩政改革などにより財政難に苦しんでいました。

そのため、武士たちは限られた禄高の中で、いかに生き抜くかを常に考えさせられていた。

山本常朝自身の経験

主君の寵愛を失った経験です。

常朝は、藩主の怒りを買い、失脚した経験を持つ。その経験から、組織の中で生き抜くことの難しさや、不遇のときの心の持ち方について深く考えるようになっていました。

また、儒学や禅への造詣があったことです。

常朝は、儒学や禅に深く傾倒しており、その思想が「葉隠」の内容にも色濃く反映されています。

これらの要素が複雑に絡み合い、「葉隠」独特の世界観が形成されたと言えるでしょう。

特に、「平和な時代における武士のあり方」や、「組織の中でいかに生き抜くか」といったテーマは、現代社会を生きる私たちにとっても共感できる部分が多いのではないでしょうか?

葉隠という言葉の由来

「葉隠」という書名の由来は、実は明確な記述がありません。

そのため、様々な説が提唱されていますが、決定的なものはないのが現状です。

ここでは、代表的な説をいくつかご紹介します。

「葉隠れ」の意

常朝が隠棲していた金立山の草庵周辺の風景から、「葉に隠れる」という意味で名付けられたという説。

自然に溶け込み、ひっそりと生きるという常朝の生き方を象徴しているとも解釈できます。

「葉陰」の意

木の葉の陰で涼むように、穏やかに世の中を眺めるという意味で名付けられたという説。

常朝が「葉隠」の中で、物事を客観的に捉えることの重要性を説いていることと関連付けられています。

「葉隠れの術」の意

忍者の隠密行動を指す「葉隠れの術」から、常朝が藩政批判など過激な内容を隠喩的に表現するために、この書名をつけたという説。

実際、「葉隠」には、当時の政治や社会に対する批判的な記述も含まれています。

「焚書」を暗示

当時の幕府は、体制批判となるような思想書の出版を厳しく取り締まっていました。

そのため、常朝は「葉隠」が焚書にされることを恐れ、あえて曖昧な書名をつけたという説があります。

田代陣基による命名

常朝自身は明確な書名を定めておらず、編纂者である田代陣基が、後に「葉隠」と名付けたという説。

これらの説は、いずれも「葉隠」の内容や時代背景を反映したものであり、それぞれに説得力があります。

結局のところ、「葉隠」という言葉の真の由来は、常朝自身のみぞ知るのかもしれません。

しかし、様々な解釈が可能な書名であるからこそ、「葉隠」は多くの人を魅了し、時代を超えて読み継がれてきたとも言えるのではないでしょうか。

現代を生きるヒントがここに…あなたも「葉隠」の世界に触れてみませんか?

今回は、「葉隠」に記された教えの一部をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

一見すると、私たちとはかけ離れた存在のように思える武士たち。

しかし、彼らが生きた時代背景や置かれた状況を知り、その言葉に耳を傾けてみると、「現代社会にも通じる普遍的な価値観」を見出すことができます。

組織で働く上での心構え、リーダーシップ、困難な状況を乗り越えるための精神力…。

「葉隠」は、時代を超えて、私たちに「より良く生きるためのヒント」 を与えてくれる書物と言えるでしょう。

ぜひ一度、「葉隠武士道」については復刻版からいろいろな方が解説本を残しています。

関連書籍を手に取って、あなた自身の生き方を見つめ直してみてはいかがでしょうか?

きっと、新しい発見があるはずです。

書評
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この記事を書いた人
ごろまる社長

WEBメディア会社22期目社長。フォークギター、元ロックバンドベース、ドラム。筋トレ、玄米食、ファスティング実践中。夫婦ドライブ温泉旅VanLife車改造など楽しんでいます。マーケティング手法の経験など社内向等、思いつきメモ備忘録に使ってます。

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