「表現力の魔法」演劇的技法マーケティング・平野秀典著『儲けを生みだす表現力の魔法』

書評

「感動は設計できる」

「表現力」と「感動」が、会社の業績を向上させる突破になる。

表現力の魔法は、その効果たるや、文字通り「劇的」です。とはじまる、この本。

2004年の古い本ですが、私が脱サラして試行錯誤している時に読んだ本です。

感動プロデューサー。平野秀典氏(ひらの・ひでのり)の『儲けを生みだす表現力の魔法』

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平野秀典著『儲けを生みだす表現力の魔法』を中心として 

現代のビジネス環境において、市場の成熟と価格競争の激化は、多くの事業主体に収益性の低下という深刻な課題を突きつけています。

機能的な差異化が困難なコモディティ化の波が押し寄せる中、平野秀典氏はその著書『儲けを生みだす表現力の魔法』において、

「情報の伝達が不十分であれば、その価値は存在しないに等しい」という本質的な認識を提示しました。

著者は、一部上場企業での勤務と10年に及ぶ舞台俳優としての経験を融合させ、演劇的技法を営業活動に導入することで、売上125%、利益300%という驚異的なV字回復を実現しました。

本稿では、同書で説かれる「表現力」の重要性と、その実務的な適用方法について深く考察します。

1. 組織戦略におけるパラダイムシフト:軍事モデルから演劇的枠組みへ

従来のビジネス運営において一般的であった「戦略」「戦術」「ターゲット」「攻略」といった軍事的なメタファーに基づく意思決定モデルは、

高度な情報化社会においては、供給者優位の視点に偏りすぎる弊害が指摘されています。

これに代わる新しい概念として、顧客との情緒的な共鳴を重視する「演劇的アプローチ」の導入が提唱されています。

  • 顧客の再定義と提供主体の役割変容: 顧客を単なる「獲得すべき標的」として捉えるのではなく、表現の「享受者(観客)」として再定義する必要があります。この視点に立つことで、提供主体は単なる商品の供給者から、価値ある体験を体現する「演者(パフォーマー)」へとその役割を変容させることとなります。商談や接客の場は、情報の受発信の場であると同時に、一つの「公演」としての完成度が求められるのです。

  • 情緒的価値の設計(演出)の重要性: 製品のスペックや機能面の記述に終始する「自己視点(我見)」は、往々にして顧客の無関心を招きます。これを打破するためには、顧客が主役となるストーリーの中に商品を配置し、顧客の情動を呼び起こすための「演出」を戦略の核心に据えることが不可欠です。例えば、単なる機能説明ではなく、その製品がもたらす「変化後の日常」を想起させる脚本構成が求められます。

  • 期待値を超える高次情動の創出機序: 単なる顧客満足(CS)は、期待通りの体験を提供したに過ぎず、再購買を確約するものではありません。それを超越した「感動」「感激」「感謝」「熱狂」を意図的に設計することが、顧客ロイヤルティを強固にします。この「期待値の差分」こそが、価格競争から脱却し、高い利益率を維持するための経済的エンジンとして機能します。

2. コミュニケーションの質を向上させる構成要素「カンカラコモデケア」の多層的分析

効果的な情報伝達を実現するための包括的なフレームワークとして、以下の7つの構成要素からなる「カンカラコモデケア」が定義されています。

これは、論理的な裏付けと感情的な訴求を高度に統合するための指針です。

  • 感動(カ):発信者自身の原体験に基づく情動。理論武装された言葉よりも、実体験を伴う感動は強い説得力を持ちます。

  • 色彩描写(カラ):五感に訴えかけ、イメージを具体化させる叙述。抽象的な「素晴らしい」という表現ではなく、「目の前が明るくなるような」といった色彩感のある言葉選びが、顧客の脳内に鮮明なイメージを定着させます。

  • 今日性(コ):現代の文脈との適合性、および即時性。「今、この瞬間に語るべき理由」を提示することで、顧客の関心を引き寄せます。

  • 物語性(モ):背景にあるプロセスや開発秘話の提示。事実にストーリーを付与することで、情報は記憶に定着しやすいものへと変化します。

  • 定量的データ(デ):客観的な事実による信頼性の担保。情熱的な訴求を支える土台として、数字やエビデンスによる論理的補強は不可欠です。

  • 決意(ケ):目的に対する主体的かつ強固な意思。提供者が何を信じ、何を成し遂げようとしているのかという「志」が、顧客の信頼を勝ち取ります。

  • 明るい展望(ア):将来的な価値や肯定的なビジョンの提示。最後をポジティブな展望で結ぶことで、顧客は提供者と共に歩む未来を選択しやすくなります。

これらの要素を均衡に配置し、重層的に構成することにより、コミュニケーションにおける受容可能性と信頼性が飛躍的に向上すると考えられます。

3. 「離見の見」による客観的認識とコミュニケーションの最適化

世阿弥が『風姿花伝』において提唱した「離見の見」という認識論的アプローチは、現代のビジネスコミュニケーションにおける主客転倒を是正し、表現を最適化する上で極めて有効です。

これは、自分の姿を客席から眺めるように、自己を客観的に認識する視点を指します。

  • 我見からの脱却とメタ認知: 提供主体の主観(我見)のみで構築された言説は、独りよがりな押し売りになりがちです。客席、すなわち顧客の視点から自己の表現を対象化し、それがどのように受け取られているかを常にモニタリングする「メタ認知能力」を養うことが、高度な説得力の源泉となります。

  • 主語の転換によるベネフィットの提示: 発信における主語を「我々(提供者)」から「あなた(受益者)」へと転換させることにより、提供される価値は受益者の自己実現に資するソリューションとして再構成されます。例えば「当社はこの技術に自信があります」という表現を、「この技術によって、あなたの業務は劇的に効率化されます」と言い換えることで、情報のベクトルは顧客へと向かい、実質的な利益としての認識を促します。

まとめ:価値共創のための表現技術と今後の展望

ビジネスにおける商談を、単なる一方的な「説明会」から、受益者の記憶に深く刻まれる「体験的空間」へと昇華させることが、現代の市場における決定的な差別化の鍵となります。

本書で提示された表現技法の習得は、単なる表面的な営業スキルの向上に留まるものではありません。

それは、提供者と受益者が共に価値を創り上げる「共創の舞台」を構築するための高度な知的技術であると言えます。

本稿で分析した知見を実務に適用する端緒として、まずは日常的なメールや会議の場において、上述の「カンカラコモデケア」の構成要素を意識的に取り入れる変革が推奨されます。

また、「離見の見」を用いて自らのプレゼンテーションを冷静に分析し、常に顧客視点へと修正し続ける姿勢が重要です。

表現の変容は、組織のブランド価値を内部から向上させ、最終的には持続的かつ劇的な経済的帰結をもたらすことが強く期待されます。

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この記事を書いた人
ごろまる社長

WEBメディア会社24期目社長。フォークギター、元ロックバンドベース、ドラム。筋トレ、玄米食、ファスティング実践中。夫婦ドライブ温泉旅VanLife車改造など楽しんでいます。マーケティング手法の経験など社内向等、思いつきメモ備忘録に使ってます。

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